抗生物質と腸内細菌の話
2020年12月21日
みなさまこんにちは。木曜日外来担当の今野です。
前回、小柴胡湯加桔梗石膏という漢方薬の回に、
「かぜに対して抗生物質をむやみに使わない方が良い」 というお話を書きました。
かぜはウィルス感染症であることがほとんどで、 細菌感染症を治療するお薬である「抗生物質」 は本来必要がないことが大きな理由ですが、 その他にもいくつかの理由があります。
その一つに、 抗生物質を内服してしまうと腸内細菌が死んでしまうから、 ということがあります。
もともと人間の腸にはおよそ1000種類、
そして、ヨーグルトや納豆など直接的に腸内細菌を増やす「 プロバイオティクス」や、 もともといる腸内細菌を増やす食物繊維などの「 プレバイオティクス」が注目されています。
腸内細菌が多様性を保ちたくさん腸内にいることで、 様々な栄養素が作られたり、 免疫力向上や健康維持に役立つということもわかっています。
しかし、「抗生物質」はこの腸内細菌の多くを殺してしまいます。
もちろん、研究によって、またどういう種類の「抗生物質」 を使うかによって、腸内細菌の減少や死滅の程度は様々ですが、 抗生物質の内服により、 少なからずもともといた腸内細菌がダメージをおってしまうことは 避けられません。腸内細菌の変化により、 下痢を起こしやすくなったり、あるいは「偽膜性腸炎」 という特殊な腸炎を起こしてしまうこともあります。
ですから、「腸内細菌を育て、守る」という観点からも、「